2013年3月23日土曜日
社内をブランディングする『インナーブランディング』のエッセンス
※移転前のブログの過去記事転載です。
顧客満足を生み出す源泉とはなんでしょうか?
優れた「製品」、「コンセプト」、「価格」、「キャッチコピー」などでしょうか?
これらが多くの顧客獲得やロイヤリティ向上に役立つと思います。
しかし、これは源泉とまでは言えないと思うのです。
では、顧客満足の源泉とは何か?
それは従業員ではないでしょうか。
どんなに優れた「製品」も「コンセプト」もそれを作り出す従業員がいなければ成り立ちません。
良質なものが生み出される環境がなければ、枝葉のマーケティングがどんなに優れていても、本質的に顧客を満足させ続けることはできないと思います。
そして顧客満足を生み出すには、従業員が優秀であること、勤勉であることが何よりも求められます。
今回は顧客満足の源泉である従業員を優秀で勤勉にするための、インナーブランディングについて、まずはそのエッセンスをご紹介したいと思います。
■ブランドの社内浸透の重要性
「ブランドの社内浸透」という語感は「社員を教育する」というイメージになると思いますが、それは正しいのですが押しつける為の教育ではなく、あくまでも「会社を構成する人としての働きがいと責任」を実感して貰う為に必要であり、社員の人生の大きな割合を占める仕事を豊かにする為にあると思います。
そういった考え方をベースにした上で、以下の基礎と循環を作り出す事が重要です。
1. ブランドビジョン(責任)
社内にワーキンググループを作り、ブランドの定義と方向性を定めます。
これにより、顧客や株主や社会への約束『ブランド・プロミス』と社員に対しては『使命』を明確にする事ができます。
2. 従業員への浸透と実践(実行)
『ブランド・プロミス』に基づいた活動の実践を有言実行できる『使命感』を社内で醸成させます。
3. 顧客、株主、社会からの評価獲得(承認)
企業の活動(従業員の活動)によって提供されたサービスとブランドへの支持を得ます。
「1」が基礎となり「2」と「3」が循環していく。
こういった流れや循環を生み出す事が「支持され続ける企業」へと繋がります。
■どの様に従業員に浸透させるのか
これが非常に難しいので、結局は取り組みとしての成果が得づらく、とん挫してしまうポイントなのですが、まずはツールとしてどういった内容があるのかと言うと・・・
【ツール系】
・ブランドブック
ブランドステイトメント、ブランド価値構造、行動規範などが記載されたもの。
・ブランドイントラネット
ブランドに関わる情報を迅速に共有する為のもの。
・社内広報
ポスターや機関誌、社員だけが使用できるノベルティ等も有効。
【イベント系】
・イベント
ブランドビジョンの見直しなどの節目となる時期に、「節目である認識」を体感して自覚してもらうために重要なイベント。
・ブランド内タウン・ミーティング
経営層と若手を中心にブランドについてディスカッションし、その内容を全社共有する。
・啓蒙セミナー
行動規範など、意識が薄まりやすい点を中心に構成する。
【制度開発】
・ブランド報奨制度
ブランドに貢献した社員を表彰する制度。
・社内論文・提案の募集
ブランドに関わる提案(ブランドの方向性、改革、アイデアなど)を促す仕組み。
ブランド報奨制度と併用する。
これらが主に一般的な内容だと思います。
これらの他に、私自身の経験では「ブランド絵本」を作ると効果的です。
「ブランドが提供するサービスを通して、顧客や社会がどの様に豊かになるのか。」
この内容を絵本にする事によって、ブランドが提供するサービスのイメージがつきやすく、特に採用活動において活用する事によって、ブランドへの貢献度の高い素養ある人材の発掘へとつながる。
飲食業など、アルバイトで9割が構成されるような業種のブランドにおいては特に有効であると考えます。
■社内のブランド浸透サイクル
以下が社内にブランドを浸透させるためのステップでありサイクルです。
※1⇒2⇒3⇒4⇒1へ戻る
1. 奨励
・ブランド推進体制の構築と計画の策定⇒社内意識の醸成
2. 教育
・ミッションステイトメントの設定⇒戦略の浸透
3. 実践
・サービス毎(部門毎)の目標設定⇒社内外への広報による活動のサポート
4. 評価
・活動の効果測定と評価⇒貢献した社員や部門への報奨と表彰
このサイクルのうち、評価を半年や一年のタイミングで行うのではなく、もっと早いサイクルで評価できる項目も設ける事で、従業員の勤労に対する満足度は高くなると思います。
■まとめ
勤労の価値をどこに感じるのか。これには個人差はありますし、ブランドにとって貢献できる人材というのも世の中の中でほんの一部です。そういった人材を獲得していく為にも、従業員が自社を推奨し「入りたい」と思える企業なのかが重要です。世の中に対しブランディングしていく基礎が従業員であるのなら、人事にこそブランドへの理解が必要であり、ブランドへの貢献度の高い人材をそこのポジションに据える事がとても有効だと思います。
そして、コンプライアンス教育にもインナーブランディングへの取り組みが重要だと考えられます。それは、「ブランドのためにどのような振る舞いをすることが正しいのか」ということを自発的に考え、自身を律することに繋がり、様々な企業課題に対し貢献できる取り組みになるでしょう。
従業員が「誰のため」「何のため」に勤労するのか。それを明確にする事が従業員にとっての働きがいに繋がります。そしてそれには『ブランドビジョン』に基づいた『ブランド・プロミス』と『使命』を明確にする必要があると感じます。