2013年4月30日火曜日

売れているデザイナー、売れていないデザイナー。~デザイナーの仕事を外野から見て思うこと~



デザイナーの仕事の領域とは?


これは時々、ふとした瞬間に感じる疑問です。

それは『売れているデザイナー』と『売れていないデザイナー』を目の前にした時です。

今回はそれぞれを分けているポイントについて、外野視点でまとめてみます。




■『売れていないデザイナー』&『儲からないデザイナー』の特徴

例えばWebデザイナーの場合、その人は
・Webサイトをデザインすること
・LPを制作すること
・バナーを制作すること
などなど…。

これらには、多くのWebデザイナーで共通することです。ただし、業務としては。

『売れているデザイナー』『売れていないデザイナー』『儲けるデザイナー』『儲からないデザイナー』

こういった言い方が正しいかはわかりませんが、一つの目安として語らせてもらうと、往々にして「売れないデザイナー」はデザインをしていません。作業しているだけです。


じゃあ、デザインって何なのか。という話をさせていただくと、本質的には『問題を解決すること』だと思います。

そこで考えなければならないのが、『何が問題なのか』ということなのですが、結構陥りがちなのが、顕在化した問題が問題だと思うケースです。顕在化した問題というのは、背景には別な問題が存在していて、むしろ、それが起因となっていて顕在化した問題が存在している場合が多いです。

しかし、その背景を読み取ること自体が視野に入っていない、狭視野な状態に陥っているデザイナーは多いと思います。しかも、特にその自覚はなく狭視野に陥っているので、どうにかしなければ、という考えが無いのです。

ここが『売れていないデザイナー』&『儲からないデザイナー』の特徴です。




■『売れているデザイナー』&『儲かっているデザイナー』の特徴

彼らが提案に向けて実践している主な項目を以下に記載します。
※あわせて『売れていないデザイナー』がどうしているのかも記載。

[1.訪問前にメールや電話で聞いている項目]
・競合企業名
・ターゲット
・意識している検索ワード
・実施している外部施策
・実施している内部施策
・CI(コーポレート・アイデンティティ)
・コアメッセージなど
・現在感じている課題、問題(これは参考程度)

『売れていないデザイナー』は感じている課題以外はすっ飛ばしていますし、それすら聞いていない場合もあります。直接訪問する時に聞いてしまっているので、初動が遅くなりますし、事前に聞けることを聞かないというのは、無駄工程が発生していることを意味します。


[2.訪問時に聞いている項目、提示している項目]
(提示している項目)
・競合企業サイト分析
・CIやコアメッセージを基にしたサイトの位置づけ&イメージ
・検索ワードボリューム、SEO難易度
・検索ワードのニーズ分類(潜在ニーズ時と顕在ニーズ時などで検索ワードには違った傾向がある。)
・上記までで明示される想定課題(事前課題とは異なった内容を気づきとして提案する場合も多々ある。)
・口頭でマイルストーン(いつまでに何をする)とスコープ(対象範囲)を提示。
(聞いている項目)
・予算感
・口頭提示したマイルストーンとスコープへのイメージ
・決裁フローと決裁上重要なこと
・関係部署や組織図
・担当者の部署が評価される指標(今後、どうあるべきなのかを聞くことも。)
・いつまでに提案が必要で、いつローンチになるのか。

『売れていないデザイナー』は組織のことなんてチンプンカンプンです。「なぜその仕事があるのか」という意識が薄弱なため、提案時に押さえるポイントがずれている場合も少なくありません。上記に上げた項目のうち『いつまでに提案が必要で、いつローンチになるのか』を聞く程度しかできていない場合は危機感を持った方がいいです。



[3.提案時に提示している項目]
・ターゲット分類(4象限MAP、ペルソナなど)
・競合との位置づけ(四象限MAPなどを用いる)
・サイトの位置づけ(外部施策や内部環境における位置づけ、チャネル分類、マインドステータス分類)
・コンテンツの意味づけ(誰を対象に、どんなニーズを対象に、どういうマインドステータスに醸成するために、など)
・全体最適化に向けたロードマップとPhase分け
・当該Phaseでやるべきこと
・当該Phaseで目指すべき成果
・効果指標
・PDCAサイクルにおける業務フロー案
などなど

これらの事を網羅する。要は理詰めにすることです。これらを網羅することによって、本質的に解決するべき問題が炙り出されることもあります。(その問題とWebデザインが直接結びつかないこともありますが。)
少なからず、『誰を対象』に『どう思われるか』が明示されて嫌なクライアントは少ないのではないでしょうか?

これらのことは『売れていないデザイナー』は一つも提示することはなく、デザインなどを提示して終わりです。




■最後に

今回、記事に書いた項目などは、実はマーケティング的な視点からの項目になっており、現在デザイナーの作業とは思われていない項目だと思いますが、デザインは既存のパーツの整理であり、それを本来あるべき姿にする手段のことだと考えているので、デザイナーの本体の仕事はマーケティング的な観点での整理があったうえで、成り立つべきなのではないかな、と思うのです。

時々、デザインを『0から1を作るクリエイティブな仕事』だと思う人もいるのですが、そんなことがあり得るのか逆に聞きたいです。

マーケティングもデザインも本質的には『問題解決』の手段であり、観るべき問題の粒度が多少異なりますが、その問題をどのような視点から見て、どのように解釈するのかが重要です。

この視点が無く、オーダーされた事をこなすという労働の仕方は単純労働でしかなく、付加価値が付かないと思います。付加価値が無い単純労働は、競合が多ければいともたやすく労働単価を落とすことになりますし、現にWEBデザイナーの単価は落ちていると思います。


「好きな女の子への告白を成功させるためには、どうやって距離を縮めていくのが最適なのか。」


マーケティングという言葉に苦手意識があり、すぐにはマーケティング的な考え方を実践できない、という方は、マーケティングを恋人づくりに例える解釈もあります。(正直、恋人づくりのたとえは好きではありませんが。)こういった考えに置き換えて考えみれば、積み上げるべきロジックが見えてくるかもしれないので、『現在、売れていないデザイナーだ』と胸を張って言える方は参考にしてみては如何でしょうか。。。汗


今回、『売れている』『売れていない』という表現について、分かりやすく伝えるために用いりましたが、なんでしょうね、こういう言い方ははやっぱり好きじゃないですね。。。
自分で書いておいて申し訳ないですが・・・。