2014年9月26日金曜日

コンテンツ・マーケティングを実践する上で知っておきたいトリガー・マーケティングという考え方。




マーケティングと言われて思いつくことには個人差がとてもあると思います。 

例えば、「広告」「販促」「CRM」「ソーシャルメディア」「コンテンツ・マーケティング」「デジタル・マーケティング」など、言葉だけでもあげたらきりがないほど様々です。 

更には「マーケティング=広告=プッシュ」という連想までたどり着く方もいると思います。 

「プッシュ」か「プル」か。これは結果論でしかありません。 

受け取り手にとって、特定のメディアやコンテンツカテゴリがプッシュなのではなく、伝える内容と対象の状態や属性が噛み合わず、プッシュになってしまうのです。 

そういった状態を抜け出すために、今回は、これからのコンテンツ・マーケティングに必要な概念として「トリガー・マーケティング」という考え方をまとめました。 

顧客基点で考えれば、案外、マーケティングは上手くいくものです。(ただし、声だけを聴いていても本当のニーズは見えませんよ。) 

今回も、貴方にとって役立つ記事であることを願っています。 


【今回の記事はSlideShareでも読めます】




トリガーとなるのは誰の行動なのか・・・自己都合なトリガーは止めるべし!


「トリガー・マーケティング」は、ターゲットの特定の行動をきっかけにターゲットの行動に合わせたアクションを行う手法のことを指します。

分かりやすくいうと、申込後のサンクスメールも申込みという行動へのアクションになります。

しかし、自社都合をトリガーにしたアプローチが多い気がしませんか?


■例えば・・・
  • 売上が未達 → 月末に一斉メールを何度も送信
  • 売上が未達 → 来店客にしつこく勧誘
  • アポ数が未達 → 塩漬けリストを掘り起こして電話
  • アポ数が未達 → 飛び込み営業をする
  • 売上見込が不足 → 既存顧客にむやみに提案

こんな経験ありませんか?


一斉メールやテレアポなど、数を打てば当たることは事実です。

しかし、それはタイミングを「掴んだ」のではなく歩いていてたまたま「拾った」ものでしかありません。

企業のマーケティング活動として、より数の論理における確率の向上をするためには「タイミング」の洗い出しと、「タイミングに」適したアプローチ方法を構築していくことがより営業効率を向上させます。

それが「トリガー・マーケティング」の考え方です。



「トリガー・マーケティング」と「イベント・ベースド・マーケティング(EBM)」との違い


ここまでの説明で気づいた方もいると思いますが、「イベント・ベースド・マーケティング(EBM)」と、何が違うのか、という疑問があると思います。

まったく同じ意味です。本来の意味であれば。

というのも、「イベント」という言葉は業界または会社で指す意味が異なり、集団が参加するものを指したり、または個別に起きた行動のことを指したりと、言葉の使い方の粒度が異なってしまうのです。

そのため、ここでは「トリガー・マーケティング」という言葉に統一して、その手法への理解を深めていければと思います。




「トリガー・マーケティング(=EBM)」誕生の歴史


そもそも、起源は海外の某金融企業と言われており、その企業は顧客データベースにある顧客行動データに特定の閾(しきい)値を設け、その閾値をトリガー(きっかけ)に該当するリドを抽出し、コミュニケーションを実行するというものです。

この考え方は1997年頃に誕生したと言われており、当時、CRMブームに沸いていた海外において数少ない成功事例の考え方として注目を浴びました。

その後、急速に金融系企業を中心に普及し、小売り系、アパレルメーカー系などにもCRMの概念のひとつとして広まりました。




CRMを活用した「トリガー・マーケティング」の例


では、「トリガー・マーケティング」で成功している企業にはどのような傾向があるのでしょうか?

一つは、「きっかけ」と手段を徹底的に洗い出し実行するという部分にありますが、ここで重要になるのが「きっかけ」と「手段」を管理し実行するテクノロジーの存在です。


テクノロジーを活用した例として、以下のような内容があります。


■住宅メーカーの場合~その①~(展示場来場がトリガーの場合)


  1. 来場者のデータをCRMで管理
  2. 来場時に来場者のカルテを用意し、展示場を案内
  3. 案内時に来場者が気に入った点、気になっている点、検討のポイントなどを記録しCRMへ
  4. 来場時のデータを活用し、パーソナライズ化されたDMを送付
  5. DMへの反応情報を基にアウトバウンドを実施
  6. アウトバウンドの結果を基にオファーDMなどのクロージング施策を実施
  7. 一連のシナリオの結果を分析し、次回のシナリオへ向けた改善を行う


■住宅メーカーの場合~その②~(カタログ請求がトリガーの場合)



【以下の内容はリード・マネジメントツールも組み合わせた内容です】
  1. 特定のテーマやニーズに関するカタログ請求があった場合、対象者にはその内容にフォーカスしたメールコミュニケーションを実施する
  2. メールコミュニケーションへの反応情報を基に、より具体的な検討状況を把握し、検討状況に合わせた次アクションに繋がる施策を実行する
  3. 特定の閾値に達した対象者に対し、アウトバウンドコールなどを実施
  4. シナリオの結果を分析し、次回のシナリオへ向けた改善を行う
  5. 総合カタログ請求者は特定ニーズが把握しづらいため、行動情報の蓄積によるニーズの特定やテーマ系およびニーズ系カタログの請求があるまでは、メルマガのみを送信す


顧客基点でコミュニケーションを考えよう


如何でしたか?


昨今、さまざまなマーケティング用語が登場しますが、話題になるマーケティング用語の殆どが顧客基点を意識した内容です。

そのことに気付かず、流行りで形だけを整えても、得られる実りは少ないのではないでしょうか?

まずは「自社都合」という「組織の壁」をどのように変化させたり乗り越えたりできるかが、企業のマーケティングの成功にとって重要な因子であることは間違いありません。

そのためには、
  • どのようなデータ項目が管理可能で、
  • どのような閾値が設置でき、
  • どのような施策が実行可能なのか
リソースの確認も含めて現状分析をし、足りないリソースは外部やツールを使う工夫を考えましょう。


ターゲットがあなたの将来の顧客でありますように。
そして、ターゲットにとって未来のよきパートナーでありますように。


ではでは。



いしむらひろのぶ


【SlideShare】